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2009年7月 3日 (金)

温暖化ガス削減のための原子力発電は大問題

 いつの間にやら地球温暖化防止のためのCO2削減対策は世界中での最優先課題になってしまったようだ。NHKでは「明日のエコでは間に合わない」とかいうキャッチで温暖化防止への参加を訴えている。
 ところで原子力発電は、石炭や石油といった化石燃料を燃やさないのでCO2を発生させないから温暖化防止に役立つとして、原子力発電の中止を決めていたヨーロッパ各国も政策を転換してまたぞろ原子力発電の拡張に向かって動き出している。確かに目先、原子力発電はCO2を出さないのであるが、その発電に当たってはウランという放射性物質を使用することによる避けられない大問題を抱えている。原子力発電所で燃やされるウランは放射性廃棄物を生み出す。その処分には解決不能の問題が存在するのである。
 物理学者の槌田敦氏が『原発安楽死のすすめ』(学陽書房)という本を書いているが、その中で原子力利用に伴うリスクについて次のように書いている。
 「原子力を利用するについては、三つの大きな問題がある。第一は軍事問題、第二は原子力事故、第三は放射能の後始末である。」(P146)
 そして第三の問題である「放射能の後始末」とは、「人間の能力を遙かに超えた」(P146)ものであるという。原子力発電の結果生じる放射能には、燃料として使用されるウランなどの残物に含まれるもの他に、例えば原子炉の鋼材に含まれるコバルトに中性子が当たると発生するコバルト60などがある。後者は廃炉に伴う問題であるが、しかし「原発を運転すると必ず生じてしまうこうした放射能のうち使用済みの燃料の中に含まれる放射能がもっとも量が多い。」(P146)という。そして使用済みの核燃料は再処理することになっているが、「再処理」とはプルトニウムを取り出すことを言うのだそうだ。この後に残った廃物には高濃度の放射性物質が含まれるために、それらは「高レベルの放射性廃物」と呼ばれ、それをガラス固化して、高さ1.4m、直径45㎝程度の容器に詰める。そうして人間から隔離するために地下深くに埋設されることになっている。ところが「高レベルの放射性廃物」の放射能は時間の経過によってそのレベルが低くなっていくのではあるが、100年後には10分の1くらいに減っても放射能は完全にはなくならないのである。従ってたとえ地下深くの岩盤に保管したとしても問題はなくならない。槌田氏は次のように書いている。
 「放射能と人間との隔離でもっとも注意しなければならないのは、地下水から隔離することである。」(p149)
 100年以上もの長期に渡って果たして地下水から放射性廃物を完全に隔離することは出来るのだろうか。特に日本の場合、容器のひび割れなどの他に地層や地震などの問題による放射能の地下水との接触が起こる可能性が小さくないという。放射性廃物が地下水と接触すれば地下水は放射能を帯びるし、いったん放射能を帯びた水から放射能を除去することは不可能である。
 槌田氏は放射性廃物の放射能の減衰について100年後のデータを示しているが、高木仁三郎氏は、『原子力神話からの解放』(光文社)の中で、「とくに問題になるのが使用済み燃料の中に含まれている死の灰の本体部分で、高レベル廃棄物と呼ばれるものです。この中には、何百万年という非常に寿命の長い放射性物質が含まれています・・。」(p269)と書いている。原発によって生じる放射性廃棄物の問題はその害が無くなるまでには超長期を要する大変厄介な問題なのである。
 原子力発電によって人間社会は大変なリスクを抱え込むことになったのである。つまり原子力発電とは、放射能汚染という究極のリスクを先送りすることによってエネルギーを得るというやり方なのである。当面現在生存している人間たちは放射能汚染の問題からは守られているかも知れないが、100年後の我々の子孫たちは100年前の人間たちの都合のために飛んでもない被害を受けることになりかねないのである。

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