注射器の使い回しが表す医療界の思考能力の欠如
注射器の使い回しについての報道が引き続いて報道されている。その原因に厚生労働省の禁止通達が医療現場に届いていなかったということもあるというが、私にはそれ以前の、医療従事者の「何も考えない症候群」こそが問題なのではないかと思われるのでる。なぜ注射器など血液を扱う機具の使い回しがダメなのかは、ウイルスというものの基本的な知識があればすぐに解ることである。ウィルスは非常に小さくて顕微鏡では見えない、電子顕微鏡でやっと見えるくらいの存在だ。肝炎やエイズの原因になっているのはそういった微小なウィルスであり、ウィルス患者に使用した注射器など血液を扱う機具に微量に残った血液中にも沢山のウィルスが存在していて、使い回せばそのウィルスが次の人にうつることは簡単に理解できることである。こんなことは素人の私にも解る基本的な事柄である。そういう単純な理屈でさえも理解できない医療従事者がいるというのは、私にはまことに恐ろしいことに思われる。
先ずはウィルスというものについての基礎知識さえ持っていないか、または上に述べたウィルス感染のリスクを考えつかないか、のどちらかが問題なのだが、余りにも基本的な事柄を理解していないというのは医療従事者に対する教育のあり方にも問題があることを示していると思う。もしウィルスが極く微小な存在であることを知っていながら、注射器などの使い回しを行なっていたとしたら、そういった人たちは「何も考えない症候群」の人たちである。ところが私には、医者を初めとして医療界全体に「何も考えない症候群」が行き渡っているように思われるのである。私がそのように判断する根拠として、次の二つが挙げられる。
一つは「高血圧」の基準数値である。高血圧かどうかを判断するガイドラインは、2000年に正常値を90ー140に定められたが、それ以前は95ー160であったという。基準数値が厳しく改定されたのである。そして医者は患者の血圧測定値が90ー140の正常値を超えると、高血圧と自動的に診断して患者に降圧剤を処方して飲ませる。ところが私が神奈川県の湯河原町に住んでいた時に自宅近くの医者にかかった時、その医者は歳を取ると血圧は上がるもので、150や160は当たり前だといっていた。そして医者の浜六朗氏は『高血圧は薬で下げるな!』(角川新書)で、「六十歳未満、あるいはもっと年齢が若くても、自立度を考えると、180/100程度までは、降圧剤での治療は不要かつ有害です。」(P113)と書いている。 なおここに書かれている「自立度」とは「人の助けを借りずに身の回りのことができる」人を「自立者」とした場合の「自立者の割合」を言います。調査の結果を見ると降圧剤を使用する人は、自立度が下がるのだそうです。しかし普通に病院などに行った場合には、血圧測定をして90ー140を少しでも超えると医者は高血圧と自動的に判断して降圧剤を処方します。私は人間をこのように単純に一律の基準で判断することが果たして妥当なことだろうかという疑問を抱きます。歳を取ると血圧は高くなる傾向があると言った医者は、自分の経験に基づき言っているのだろうと思うのだが、私にはその判断は正しいように思われるし、浜医師の書いていることにも納得が行くので自宅で計る血圧が180/100に収まっている限り降圧剤を飲むつもりはない。もしこれで何かあっても全く構わないと考えている。人間、いつかは死ぬのだ。
医療界における「何も考えない症候群」の根拠と考えるもう一つの根拠は、最近話題の「メタボリック・シンドローム」の基準である。お腹廻り(つい先日健康診断を受けたらへその位置での計測であった)が、男が85センチ以上、女が90センチ以上ならメタボリック・シンドロームなのだそうだ。しかし藤田紘一郎氏などは過去の実例から言って、少し太っているくらいの方が長生きしており、今回のガイドラインはおかしいと批判している。もしそれが事実なら、医療界は高齢化社会対策として少しでも長生きを阻止しようと考えて、このようなガイドラインを設けたのではないかと性悪の私などはついつい勘ぐってしまうのでる。
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